米国ディーゼルエンジンにおける触媒技術の基本：DPFとSCRの役割
米国では、特に大型トラックやSUVを中心に、ディーゼルエンジンが広く普及しています。しかし、ディーゼルエンジンは効率が良い一方で、窒素酸化物（NOx）と粒子状物質（PM）という二つの主要な有害物質を排出します。米国環境保護庁（EPA）の厳しい排出ガス規制（Tier規制）に対応するため、現代の米国ディーゼルエンジンには、これらを同時に除去する高度な触媒システムが搭載されています。
その中心となるのが、DPF（ディーゼル微粒子フィルター） と SCR（選択的触媒還元）システムです。DPFは、排気ガス中の煤（スス）などの粒子状物質をフィルターで物理的に捕捉します。一方、SCRシステムは、AdBlue®（尿素水）を触媒前に噴射し、NOxを無害な窒素と水蒸気に化学的に還元します。
これらのシステムは連携して動作し、排出ガスをクリーンにします。例えば、エンジンから排出された煤はまずDPFで捕集され、定期的に燃焼させて除去されます（再生）。同時に、NOxはSCR触媒で処理されます。この二段構えの技術により、米国のディーゼル車は、かつて「黒煙」のイメージがあった時代から大きく進化を遂げ、クリーンな動力源として生まれ変わったのです。
FAQ
Q: DPFとSCRは、全ての米国ディーゼル車に搭載されていますか？A: はい、現代の米国で新規販売されるディーゼル車（軽自動車から大型トラックまで）には、EPA規制をクリアするために、ほぼ例外なくDPFとSCRの両方が搭載されています。
Q: AdBlue®とは何ですか？A: 尿素と純水を混合した液体で、ディーゼル排気処理液（DEF）とも呼ばれます。SCRシステムにおいて、NOxを除去する化学反応の還元剤として機能します。